世界の産業動向 Jan-Mar., 20182018/07/17

 

世界の産業動向

Jan-Mar., 2018

一、情報通信産業

Ø  世界3IT応用製品の出荷、2017年に予想を上回るも、2018年は減退の見通し

2017年は3IT応用製品の出荷がいずれも予想を上回った。中でもNB(ノートパソコン)の出荷は2年ぶりのプラスとなった。もっとも、IT応用は依然として減退のすう勢から抜け出せずにいる。2017年の市場の盛況が2018年の出荷圧力につながる可能性があり、2018年は3IT応用製品の出荷減少が予測される。

2017年の3IT応用製品の発展を振り返ると、IT製品のスペック更新が続いた。中でもeスポーツ用モニタ装置が比較的急速に伸び、広視野角の受け入れ度合いも高まった。NB市場では狭額縁の応用の導入が加速し、高解像度の普及が引き続き進んだ。これに対して、タブレットはスペック革新という点で際立って注目すべき点がなかった。

出荷状況を見ると、2017年に出荷が増えたのはNBのみで、モニタ装置とタブレットは減退から抜け出せなったものの、3者の出荷状況はいずれも予想を上回った。明らかに世界経済市場の回復の影響を受けたものであり、IT製品の需要は業務用も民生用も同じように支えられた。しかし、モニタ装置、NB、タブレットの買い替え周期が引き続き延びていることが依然として懸念される。タブレットの減退の度合いが弱まる可能性がある一方、NBについては再び後退期に入る恐れがあり、モニタ装置の減退の度合いも2017年を上回るものになると、は予測する。

Ø  携帯電話機ワイヤレス充電のブームが持続

iPhoneが正式にワイヤレス充電を採用した後、各ワイヤレス充電器メーカが相次いで製品の発売を加速した。Energousを例に挙げると、同社がCES 2018で展示したMid Fieldワイヤレス充電ソリューションは2017年末にようやく米連邦通信委員会(FCC)の認可を獲得したが、RFワイヤレス充電技術を独占的に広める同社にとって、このことは重要なマイルストーンにとどまらない。しかし、Energousのソリューションは距離を伸ばしたことで充電効率が大幅に低下する。このためMid Fieldソリューションが業務用市場への参入を果たしたとしても、駆動できる装置が低出力(35W)を主体とするものに限られるうえ、充電速度も比較的遅い。一方、他の携帯電話機向けワイヤレス充電器製品では、例えばBelkinが装置の設置場所や充電装置の数、充電器の使用エリアをより自由にできる充電器を発売した。また、他のメーカと同様に、モバイル充電器や兼用ワイヤレス充電器といったパソコン周辺機器をリリースした。メーカの姿勢が一段と積極的になり、ビジネス生態系が次第に形成されるに伴い、ワイヤレス充電は技術についても、またソリューションの多様化においても、2018年に一層の発展を遂げることになるだろう。

全体的に言えば、2018年における携帯電話機向け充電の発展の方向性は次の特徴を備えている。(1)複数台の装置の同時充電を行う。(2)TXRXの境界線があいまいになり、装置の相互補完という概念が一段と普及することで、マウスパッドなどといった消費者が常用する装置も携帯電話機のワイヤレス充電器になり得る。(3)充電時の携帯電話機の設置方向が一段と自由になり、充電パッド上に携帯電話機を水平に設置しなければならないために閲覧が不便であるといった従来の問題が解決される。

Ø  Android陣営の指紋認証の浸透率、2018年に引き続き6割近くとなる見通し

AppleAuthenticを買収して2013年から自社製iPhoneiPadに指紋認証技術を導入し始めて以来、Touch IDはアップルにとってシンボリックな構造デザインであると言える。2018年からApple製品ポリシーとして次第にFace ID技術の使用を拡大させることが予測され、Touch ID搭載数量は大幅に減少する見通しだ。しかし、Android陣営が2017年に発売した顔認証機種では、Samsung S8/Note82D顔認証であれ、VIVO X20であれ、クラウドコンピューティングの顔認証技術が必要で、いずれもその情報の安全性が十分ではない。このため、携帯電話機メーカは依然として指紋認証を維持しており、指紋認証が大部分の機種にとって最優先の選択肢となっている。

は、2018年にAndroid陣営が引き続き指紋認証技術の採用を続けることで、Android陣営での指紋認識の浸透率が上昇を維持すると認識している。全体的には、2018年に世界のスマートフォン指紋認証の浸透率が59%に達すると予測する。

Ø  産業用コンピューター産業で合従連衡の流れが顕著に

産業用コンピューター産業ではM&A(合併・買収)または出資方式による策略的なアライアンスが続いており、産業内で合従連衡の流れが顕著となっている。また、M&Aのターゲットが国内から海外へと向かい、製造側からの川下統合がディストリビューター/システムメーカにまで至って合併が行われている。

世界的なIoT(モノのインターネット)のビジネスチャンスはデータ分析とスマート応用サービスが主体であるが、現時点でクラウドサービスとビックデータの応用分析は依然として世界的な大手メーカが主導している。国内の産業用コンピューター業者は主に世界的なファクトリーオートメーションとスマートファクトリーがけん引する産業の高度化の恩恵を受けており、この需要がもたらすビジネスチャンスと動力は比較的大きい。このため、業者は引き続き、ソフトウエアやSIチャネル、インターネットなどの技術を補強していくことになる。例としては、研華がこのほど、海華科技の非公開株1.75万株を2.99億台湾ドルで取得し、ワイヤレス通信モジュール領域における両社の提携を強化した。

 

二、医療バイオテクノロジー産業

Ø  環境汚染の影響で呼吸器系スタントシステム市場が隆盛

世界的に空気の質が日ごとに悪化する中、慢性副鼻腔炎の流行率が全世界で年々上昇傾向にある。副鼻腔炎で薬物治療が効かない場合、一般的に次の段階として機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)が行われる。欧米では毎年FESS手術回数が既に100万回を超えており、うち30%超の患者が術後に傷跡形成や再発性炎症などにより再度の施術を余儀なくされている。スタートアップ企業のSTS Medical Ltd. S.T.Stent)はこのほど、FESS後に使用可能な副鼻腔スタントシステム(Composite Removable Sinus Stent System)を研究開発した。スタントシステムは28日間に及ぶ副鼻腔の開窓維持が可能で、副鼻腔組織の癒合を十分にサポートして患者の治療効果を効果的に改善する。中国浦易(上海)生物科技は、FESS施術後の炎症反応を軽減できる薬物(Mometasone furoate)コーティング付き副鼻腔スタントシステムを開発した。

気管や副鼻腔は組織構造が比較的複雑であるため、現時点で市場に出ている製品項目が比較的少なく、この市場には依然として満たされていないニーズが存在する。2017年のスタントシステム市場の規模は7.7億米ドルで、2022年に年平均成長率(CAGR)が4.9%に達する見込みだ。今後はスタントシステムの設計や材料の技術進歩に伴い、より多くのスタントシステム製品が登場し、映像技術と低侵襲手術が進歩するにつれて、適用範囲も次第に拡大することが予測される。

 

Ø  新興国市場における医療ニーズの持続的な増加で、世界的な医療器材市場が安定成長

2017年の世界の医療器材市場規模は約4,281億米ドルで、成長率が4.7%だった。新興国市場で医療ニーズが持続的に増え、中東と北アフリカの市場が次第に拡大発展したことに加え、米国による負担可能医療法(ACA)の推進以降、医療支出を軽減する各種ソリューションが新しく登場した。中でも医療器材の品目が最も多く、世界全体の医療器材市場の安定した成長をもたらしている。2021年に市場規模5,174億米ドルに達し、年平均成長率(CAGR)が4.78%になると予測される。

各地域の市場を分析すると、米国が依然として単独で世界最大の医療器材市場であり、2017年の市場規模は1,408億米ドルだった。アジア地域では日本と中国が主要市場で、市場規模は日本が231億米ドル、中国が200億米ドルだった。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)、中東湾岸諸国と北アフリカ各国(MENA)、インド、ラテンアメリカなどの地域でも医療器材市場がいずれも急速に発展しており、今後5年間において市場成長の主な原動力になることが予測される。

 

三、フィンテック産業

Ø  ブロックチェーンから派生するインセンティブ型ビジネスモデルは従来型市場に衝撃を

 ビットコインが乱高下を経た頃には市場のビットコインに対する注目度は既に高まりを見せ、ブロックチェーン技術に対しても理解が深まり始めた。ブロックチェーンは単なる仮想通貨としての用途のみではなく、より多くのアプリケーション分野を持つため、アプリケーション領域を有するビジネスモデルも今後強烈な衝撃を受けることなろう。今、どのようにブロックチェーン技術を利用して各アプリケーションをパッケージ化し、ブロックチェーン特有のインセンティブ因子を誘因とし、ユーザーにブロックチェーンのアプリケーションを利用したいと思わせるかを重視することで、例えば、Kodakが発売した映像版権KODAKOneプラットフォームやコダックコイン(Kodakcoin)は、カメラマンの権益を保障できるばかりか、コダックコインは保有者に安定して上昇する収入源を掴ませるチャンスを十分に安定的に持つのである。

   ブロックチェーンはベースとなる技術に属するため、もたらされる改革は単なる通常のイノベーションではなく、インターネットのようにあらゆる業界のすべての思考を変更するものになろう。しかし、ブロックチェーン技術はなお歩み始めたばかりであり、さらに各国の法規も厳格なままであり、現状ではすべての業界でブロックチェーンを導入することはなく、金融業でさえもブロックチェーンの適用性を全面的に考慮しなければならない。ただし、多方面の検証を必要とし、デジタル化された原資料を既に有する分野であれば、先行してブロックチェーン技術を応用する可能性がある(例えば、サプライチェーン管理、航空業界など)。

Ø  中国の新たなイーサリアムのマイニングマシンがマシン・サプライチェーンの最近の売上を牽引

 ビットメインが設計したBitmain S9は、ビットコインのマイニングマシンであり、現在の主力機種でもある。今後ビットコインの数量が徐々に減少するのに伴い、マイニングの達成は難しさを増し、加えてビットコインが採用する散列(hash)計算方式は、SHA-256演算法が主体であるため、計算能力を消費するばかりか相当なエネルギーも消費する。従ってビットメインは、イーサリアム向けにマイニングマシンモデルのF3を開発した。このモデルのエネルギー消耗はより低く、記憶体はより大きく、1台のF3マイニングマシンの記憶体に72 Giga Byte DRAMが配置されており、現在のビットコインS9マイニングマシンがわずか512MB DDR3であるのと比べれば、F3の発売後はグラフィックチップでマイニングをするPCマイニング市場に衝撃をもたらすであろう。

  マイニングマシンのサプライチェーンが近いうちに恩恵を受けるほか、マイニングの高速演算ニーズも伝統的なカード・ボードメーカーの売上を牽引しており、カード・ボードのニーズが4月まで予見できる。技嘉(ギガバイト)、撼訊(TUL)、麗台(リードテック)といったメイン市場、中小企業市場の各伝統カード・ボードメーカー20181の売上がいずれも史上最高、微星MSI、映泰(バイオスター)、華擎ASRock )の1の売上も前年比で2桁増となり、中でも微星1の連結売上は史上2番目となった。一方、技嘉2017のグラフィックカード事業は、マイニングニーズに牽引されて製品単価(ASP)が上昇し、端末の販売価格の上昇幅は5から10%に達した。カード・ボードのニーズの視程は20184月であり、長期的にはなおマイニングの事故や仮想通貨バブルのリスクに留意する必要がある。

四、電子商取引産業

Ø  新形態の小売消費体験は現在進行形であり、小売業者も徐々に受容

  小売消費は再びモデルチェンジの段階に直面しており、従来の伝統的な実店舗による小売から電子商取引に進み、今や小売業はこの両者が融合する段階にある。この原因は、電子商取引の競争体制、顧客開拓コストの急増、実店舗による小売がそれ自身で制限を受けた上にネットショップにより急激に既存市場を攻め込まれたことにあり、両者は、困難を突破するためにお互いのメリットを吸収し始めており、今後は伝統的な実店舗による小売と純粋な電子商取引のみということはなくなり、ニューリテイルの形態に向かって発展する。ニューリテイルの定義は消費者の体験を中心としデータが駆動する広範な小売形態」である。その核心となる価値はデータのストリーミングであり、データのストリーミングを利用してオンライン、オフラインの小売消費の環境を融合させ、科学技術とサプライチェーンのインテグレーションを利用し、消費者にシームレスで障害のない体験を獲得させるのである。現在Walmartやアリババなどの大手ネットショップがこのコンセプトの実現に取り組んでおり、徐々により多くの小売業者にも受け入れられると予想される。

 ニューリテイルが追求するものは、オンラインとオフラインの統合と消費体験の最適化であるため、そこで関わるのは単なる科学技術の進歩ではなく、より人間性に近いものが求められる。最近アリババとスターバックスがコラボで上海にスターバックスのスマートストアをオープンしたが、ここではAR技術を利用し、消費者がスマホなどのモバイル機器を通じてコーヒーの焙煎、豆挽からドリップまでの過程を見ることができ、消費者が消費の各ポイントで随時スターバックスを理解することができる。また天猫のサービスにより、地図、提供商品およびイベントの情報を消費者に提供する。この中で特に重要なのは消費者心理の実現である。即ち、消費者に商品の生産の流れと価値を理解させ、コーヒーを手に取った時に消費体験を昇華させ、かつ購入後に一体感を生じさせることにより、消費者がショッピングの過程で商品を金額のみによって評価することがないようにさせる一助とするのである。

Ø  IoTAI技術による無人ショップの実現は技術の融合がカギに

アマゾンが正式に無人ショップのアマゾン・ゴーを出店後、無人ショップが市場でホットな話題となり、多くの小売業者が類似の自社流のハイテクスマートショップの出店を始めた。アマゾン ・ゴーの無人ショップは、RFID、カメラ、重量センサなど無数のIoTAI技術を活用し、消費者が商品を手に取り、また戻す動作を正確に探測し、かつ即座にアマゾン ・ゴー Appに記録し、ショップを退出後に自動的に決済し、消費者にスムーズな消費体験を提供する。消費者はショップの中で様々な状況や消費方式に遭遇するため、これをち密に感知し探測することが店内での最も重要なカギとなる。既に多くの後発者が追随の意向を持っており、アリババ、セブンイレブン、ファミリーマート、ワトソンズなどは、いずれも既に類似のハイテクスマートショップを出店しているが、ショップの性質が異なるため、技術の使用場面、ニーズおよび目的もある程度異なっている。

 また、無人ショップが使用するほとんどの技術は新しい技術ではないため、技術のシームレスな融合がカギとなる。さらに消費者の受容性に高まりがなく、技術導入後の安定性と利便性には検証と継続的な修正が必要である。最終目的は、消費体験とショップの運営効率全体の引上げであり、たとえ無人ショップが使用する技術の組合せを様々に変化させることができても消費体験が向上せず、消費のフローが妨害されることになるとしたら、たとえ将来の技術が斬新であろうと捨て去られることになる。

五、ベンチャー産業

Ø  2018年はスマートメータにビジネスチャンスが訪れ、技術を有するメーカーが積極的に参入

 台湾電力は2018年も引き続き20万戸へのスマートメータの設置を見込んでおり、2024年には300万戸への拡大を目指している。主なユーザーは、中小企業や家庭用電力利用者であり、ビジネスチャンスは240億から250億台湾ドルに達する見通しである。中興電工、大同、中華電信、中磊などのメーカーが参入する可能性がある。内容面では、スマートメータの通信モジュールと通信サービスに制限はなく、Wi-Fi4GPLCおよびLPWANのいずれも可能である。肝心なのは接続の成功率と信頼性であり、データ伝送の規格として、15分毎に1データを作成し、4時間に1回データを伝送し、1日に合計96データを伝送しなければならない。

  スマートメータの取付けには、電力会社自身による設置と通信業者との協力による設置があるが、コスト面から見ると、電力会社自身による設置とメンテナンスはコストが高くなり、通信業者と協力することでサービスの保障と料金交渉の余地が得られる。また、スマートメータのデータ伝送の特性は、実際にはLPWANとかなり類似しており、加えて最近では台湾の大手通信業者が積極的にNB-IoT技術の手配を進め、ビジネスチャンスを開拓しているため、NB-IoTには今後の台湾のスマートメータの主流通信技術になる可能性がある。

Ø  スマートスピーカーの競争が過熱し、2018年は生態圈の拡大が発展の重点に

  2014年にアマゾンがスマートスピーカーのEchoを発売後、当該市場は次第に各メーカーの注目ポイントとなり、2017下半期には各メーカーのスマートスピーカーが雨後のタケノコの如く出現し、スピーカー専門メーカーのHarmanSonosのほか、シャオミ(小米)、アリババ、テンセント、LINEなどが次々にスマートホームを舞台にした競争に参入した。機先を制するため、アマゾンが真っ先に値引き戦略(25%から40%)を打ち出し、Googleも追従を迫られた。この値下げ戦略の効果は歴然であり、アマゾンのEchoシリーズの販売は注目を集め、多くのユーザーが会員となり、Alexaの音声アシスタントを利用することになり、生態圏拡大のチャンスになった。

  スマートスピーカーの生態圏の発展は対内と対外に分けられる。対内については、スマートスピーカーが中枢神経の役割を果たし、各スマート家電を同相接続しなければならないが、現在のスマートホームはバラバラの様相を呈しており、各大手家電メーカーがスマートホームを自社の発展の重点しようと期待しているのである。対外的には、サービス内容を如何にして拡大するかが発展の最も重要な点であり、既に多くのスマートスピーカーで時間設定、天気の問合せ、音楽プレーヤーなどの機能を提供しているため、さらに多くのアプリのサービスを追加しなければ、購入のインセンティブを提供できず、使用するユーザーが足りなければさらに多くのメーカーの参入を呼び込めず、その上で悪性の循環に転じてしまう。従って今後スマートスピーカーに更なる多様化したサービスを提供させることがその成長の鍵である。

Ø  eスポーツの萌芽により人材需要が高まったが、娯楽の主流になるには産業面のサポートが必要

 eスポーツの発展は1999年から2000年の間に始まり、ライブゲームの出現に伴い個人の娯楽から観戦型のスポーツ競技になり、イベントの協賛と広告、ソフト・ハードウエアおよび周辺商品、入場料収入、放送の権利金、アマチュアゲーマーおよび小規模の競技などが、eスポーツ市場に膨大な売上をもたらした。2017年の世界のeスポーツ市場の売上は約15億ドルになったが、そのうち半分は著名なスポーツブランドによるものであり、2020年にはeスポーツ市場の売上はさらに26%増加すると期待される(競技会によるさらに多くの観衆の呼び込みのほか、第三者の投資の拡大も含む)。

 アジアのeスポーツ産業は萌芽・発展の時期にあるが、発展の持続には、なお多くの産業の支援と協力が頼りである。最近では金融グループの投資も次々と実行されており、兆豊金融は先陣を切って大学のeスポーツ大会を開催し、新光保全もeスポーツ産業の発展に注目し始め、台湾電子子競技クラブahq-eSports Clubに対するA輪投資を実行した。台湾は、eスポーツ産業において複数の良好な条件を備えており、複数のeスポーツのハードウエアの大手メーカーが存在するほか、多くの優秀なプレイヤーや戦隊を誕生させ、eスポーツの観衆は世界第5位であり、映像産業とインターネットによるライブ放送が発達しており、さらには政府が2017年に電子競技をスポーツ競技項目に組み入れたことなどが、台湾のeスポーツの発展にとって好材料となった。

 一方、国内のソフトウエア、ハードウエアおよびメディアを含むeスポーツ産業の弱点は、ソフトウエアにおける台湾のゲーム開発力が断層に陥っており、今や開発ゼロの状況に近づいているところにある。また、台湾でのeスポーツの人材需要の急増と同時に中国のeスポーツ産業でも人材需要が非常に高まっている。ハイレベルのプレイヤーの年俸は1千万元に達し、国内プレイヤーやと戦隊のリーダー、プロモーション、マネジメント、アナウンサー・解説者などの関連従事者も人材ハンティングの対象となっており、今後は事業を拡大するための人材確保が重要な課題となろう。


 

3、投資案件分析

  当期の重要投資案件は、鴻海グループとシャープの共同出資による車載用レンズ会社の設立と華碩による中国でのeスポーツ会社の出資設立案件である。案件の影響と将来性の評価の分析は、次のとおりである。

重要投資事件

投資案件

関係企業

案件の分析と将来性の評価

20182月に鴻海グループとシャープが共同で30.2億円(約8億台湾ドル)を出資し車載用レンズ会社を設立した。

合弁会社の出資比率は鴻騰精密が51%、シャープが49%で、会社の経営範囲は、車載レンズ、電子バックミラーの開発、設計、製造および販売であり、全世界の大型自動車メーカーへの供給を目標とする。

鴻騰精密、シャープ

l   近年市場では先進運転支援システム(ADAS)に対するニーズが高まりつつあり、ADASは警報機能から車両のアクティブ制御まで可能になり車両の自動運転へと向かっている。ADASの作動モデルは環境の感知・測定、分析、意思決定および実行であるが、超音波レーダーやミリ波レーダーのようなセンサーでは物体と距離が測定できるのみであり、物体を識別できない。画像識別演算法や画像処理チップ技術の向上により,レンズと車載レーダーの組合せによるセンシングがADASの主流ソリューションとなっている。

l   現在ADAS機能を備えた車両1台で平均4から8種類のレンズを搭載し、ADAS機能の向上に伴い、高価格車が搭載するレンズの数は増加し、中・低価格車でも各国の新車評価制度や強制法規によりレンズの搭載が中・低価格車にも浸透する可能性があり、レンズの需要は引き続き上向くと予想される。

l   今回の合作投資案件は、シャープ傘下のカンタツがレンズ関連技術を提供し、鴻海の孫会社である光学モジュールメーカーの中揚光電と光学レンズメーカーの紘立光電の資源を組み合わせると予想され、分担としてはシャープが技術開発と設計を行い、鴻海の量産化の構築技術と販売経験を組み合わせると見られ、鴻海グループにおける車載レンズ市場の全体計画に共同で資するものである。

l   シャープの2019年までの中期経営計画では、車載用レンズを含む部品部材部門全体の売上目標を8千億円に引き上げた。ただ注意すべきは、車載用レンズのレンズ片加工のモジュールのプレスのキー技術について、鴻海の全体計画で見ると、中揚光電の主要製品はなおプラスチックレンズ・モジュールであり、ガラス製造設備の比率が低く、今後非球面のガラス製造技術をマスターできるか否かを見る必要がある。一方、紘立光電は後工程市場が主体であり、如何にして車両規格検証がある前工程市場に参入するかというハードルを克服しなければならない。

20181月に華碩が4.73台湾ドルを投資し中国でeスポーツ会社の「華競文化伝媒」を設立した。

新会社の華競は、プロフェッショナルのeスポーツ(e-Sporting)を主要経営案件とし、華碩の中国eスポーツ産業におけるチーム組成、eスポーツ競技への参加などを含むプロビジョニングに責任を負う。

華碩

l   eスポーツ産業のハード商品の競合先は多く、製品技術自体の差別化の余地は小さく、かつ、各メーカーの販売手法や周辺製品の設計も日々雷同一律の状況であり、市場から脱け出して伝統的な消費に属する電子製品の製造・販売の考え方を脱する必要がある。製品仕様のみを重視するのではなく、製品の設計およびゲームのコミュニティに関心を寄せ、ブランド経営、サービスツールおよびeスポーツ生態系を含めたユーザー体験を取り巻く生態システムを構築する経営を強化することがカギとなる。

l   今回華碩が出資設立した新会社の華競は、既に上海でeスポーツチーム「俠盜勇士」(Rogue Warriors)を組成しており、華碩の初のeスポーツチームとしてテンセントが主催するLPL英雄聯盟中国プロリーグに参戦する。

l   以上から、華碩のeスポーツが、PCeスポーツのカード・ボード、ディスプレイ、ルーター、周辺機器、eスポーツのモバイル等のハード装置の販売だけでなく、eスポーツの産業チェーンおよび生態系全体を構築し市場での地位を固め始めたことが分かる。これにより、今後の発展計画に向けて中国のeスポーツ産業生態圏に深く入り込み、同時に会社とeスポーツ愛好者との繋がりとユーザーとの一体感を強化できると期待される。

l   eスポーツ競技は、プロスポーツモデルのように発展して新媒体、ネットライブ配信、競技の中継放送および入場料収入、クラブなどのビジネスチャンスが日々拡大し、2018年以降は各eスポーツのハードメーカーのプロモーション手法がより積極的になり、戦隊経営や実況主によるゲームのプレイヤーへの投資がより顕著になり、協賛メーカーも選手のマネジメントや周辺の経済効果に取り組みを行うと見込まれる。eスポーツ産業生態圏の主役は、プレイヤー、ゲームメーカー、eスポーツ競技の関連組織、ライブ中継のプラットフォームなどであり、異業種連携の方式により相互利益を達成できる。

  資料出所:産業研究院

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

台北市政府産業発展局

発行日: 2018.04

 

 



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